観光ガイドGUIDE
中国の食の安全という報道が気になります(※2007年調べ)
2025年5月26日
昨今、中国産の食材に関する報道が多く取り上げられておりますが、様々な情報が飛び交い、真実がなかなか見えてこないというのが現 実であります。そこで中華街でも、食に対する認識をより一層深めることを目的とし、食の安全の第一人者である唐木英明先生(東大名 誉教授)を講師にお招きして「食の安全に関しての研修会」を2007年9月6日(木)ローズホテル横浜にて開催致しました。唐木英明先生 は、現在、内閣府食品安全委員会肥料・飼料等専門調査会座長及びリスクコミュ二ケーション専門調査会専門委員として、医薬品、化学 物質、天然物質等の健康影響とその生理的機構の研究や食品安全のためのリスク評価およびコミュ二ケーションの調査・研究に取り組ん でおられます。日本の食の安全を語る際には誰もが認めるこの分野のオーソリティーであり、輸入中国食品の安全性についても、偏ること のない見解をお持ちでした。今回は先生の個人的な見解をお話頂きましたが、以下はその講演内容の抜粋です。なぜ消費者は不安に思うのか?よく分からないものに対する防衛本能の表れが不安である。人には正体がわからないものに不安を感じて、これを危険なものとして避け ることで自分の命を守ってきた。また「危ない」という情報には注意を払うが、「安全」という情報には注意が向かないために、一度 「不安、危ない」と感じると、その感情はいつまでも残ってしまう。添加物や残留農薬はどのくらい危険か?現行の法律や基準は人体への影響を考慮した科学的根拠を基礎にして、念のためにそれよりずっと厳しい値に設定されている。従って基準 を何倍か超えた程度の食品が直ちに危険というわけではない。もちろん法律違反をしてはならないが、食品の安全性とは無関係な違反が あることを理解することで、必要以上の不安をもつことがなくなる。輸入中国食品は危険なのか?中国産の食品に関しては、検査を行った件数が多いので不適格になった件数も多い。しかし安全性を正しく判断するために大事なことは全体の何%が不適格になったのかである。不適格になった割合で見る限り、中国産の食品は米国など他の国からの輸入品より違反が多いというわけではない。また違反の内容を見ても中国食材は健康に影響があるようなものではない。さらに、国産の食材と比較しても中国産のみならず輸入食材は安全面において差異はない。どう対処したら良いのか?安心感は信頼から生まれる。食品を取り扱う立場の人は食中毒を起さないように真面目に仕事をし、利益追求をしながらも職業倫理の徹 底を図るべきである。また食材を購入する時には、安価なことと安全性の両立は困難であるということを理解して欲しい。その上でメディ アとのコミュ二ケーションも積極的に行い情報発信に努めることが大切である。信頼の獲得こそ最善の販売促進策である。
本サイトからの補足
今春(2007年)以降、日本で中国産食品に含まれる農薬の基準値違反の「有毒」報道が増えたのは、昨年(2006年)5月に始まった「ポジティブリスト制度」 にも一因がある。 ポジティブリストとは、それまで規制の対象外だった農薬や抗菌剤について、新たに約500品目の基準を設定する一方で、データ不足などから基準値を決められ ないものについては1キロ当たり0.01ミリグラムという一律基準を設定し、使用を制限する制度だ。厚生労働省の統計によれば、ポジティブリストが導入された 昨年(2006年)の輸入食品の残留基準値違反は、05年に比べて農薬で7.9倍に増えた。違反件数のうち中国産の割合は38%だが、そもそも中国産食品の輸入件 数は全体の31%を占める。違反件数では中国がトップだが、検査件当たりの違反率は中国(0.58%)より、アメリカ(1.32%)やベトナム(1.63%)のほうが 高い。
※ニューズウィーク2007.10.3号「『危ない食品』は危なくない」より抜粋
※文章中の()年は本サイトが入れたものです
上記の記事からも中国食品が一番危険という根拠はないことがわかります。いたずらに不安を感じパニックになるより、何が安全か、そうでないかを見極め、 これからも横浜中華街は専門家を交えた取り組みを行っていきます。そしてなおいっそう安全であるための仕入れや管理を徹底していき、食の安全に努めてま いります。