第43回
2018/08/10
東北料理・湖南料理・台湾料理・蘭州ファストフード
中国料理と一口に言っても、北京・広東・上海・四川はそれぞれに特徴があるのはご存じの通り。今回はさらに踏み込んで、横浜中華街でも珍しい、東北料理、湖南料理、台湾料理、さらに蘭州市のファストフード店へ!
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中華料理
東北人家 本館(とうほくじんかほんかん)
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【東北料理】マイナス30度と闘う強靱な体力の源!
中華街で取材をしていると、北方出身の人は大柄でパワフル、おおらかな印象です。「そうそう、白酒(パイチュウ)もグラスに入れて一気に飲んじゃう、そういう性格よ」と笑う店長さん。白酒とは、ウォッカのような蒸留酒でアルコール度数は50度なんてものも! それも納得、東北料理のふるさと、黒竜江省・吉林省・遼寧省の冬はマイナス30度にもなり、アイスも冷蔵庫から出して外に陳列されるのだとか(笑)。料理も大皿でボリューム満点、味付けは塩や醤油が多く濃いめで、とにかくワシワシたくさん食べて寒さに負けない体を作るもの、それが東北料理です。
黒竜江省、吉林省、遼寧省は旧満州にあたるエリア。ロシアと北朝鮮に接しモンゴルも近いため、羊料理も名物。体を芯から温める火鍋の発祥もこちら。
「日本人向けにアレンジした料理ではなく、本場の郷土料理を食べてほしい」とオープン。お客さんの6割が中国人で、常連さんの口コミで人気が広がっている。
冬は野菜が乏しくなるため、発酵させた白菜「漬け白菜」が春先まで大活躍。煮物にしたり炒め物にしたり。昔、「漬け白菜」は各家庭で2〜3つの壺に分けて保存されていたそう。「漬け白菜」の餃子も代表的な主食。もちもちの餃子を頬張ると、発酵食ならではの香りが鼻をくすぐる独特の美味しさ。『豚肉・漬け白菜のジャンボ蒸し餃子』500円(税別)。
本国では、コレ1品の専門店もあるという東北料理の代名詞『豚背骨ガラ肉の特製醤油煮込み』500円(税別)。
ビニール手袋をして、関節をバキッと割って、コラーゲンまでしゃぶって、ビールが進む!
『中国東北地方の酢豚』1080円(税別)。豚ヒレをカラッと挙げて甘辛ダレで食す酢豚は、南方の料理人から「どうやって作るの?」と何度も聞かれたそう。
毎年、本国の人気メニューも取り入れている。こちらは、鯉の代わりに日本では1kgの鯛を使い、東北の干し豆腐や野菜と一緒に辛味噌ベースのスープで煮込んだもの。唐辛子、山椒、香菜が効いた辛い鍋はグループで訪れたときに注文したい。3800円(税別)。
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中華料理
福満園別館(ふくまんえんべっかん)
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【湖南料理】肝は“漬け唐辛子”。四川をしのぐ辛さに、胃がほてる
湖南の人は「四川人不怕辣、湖南人怕不辣」と表現されるという。「四川人は辛いのを恐れず、湖南人は辛くないことを恐れる」という意味なんですって。ひゃっ! 辛さの違いは唐辛子。湖南は乾燥唐辛子ではなく、一層辛さを増した発酵調味料、剁椒(ドゥ・ジャオ)という漬け唐辛子を使うのが特徴です。
山に囲まれた湖南省は、毛沢東のふるさとでもある。肉や魚は塩漬けにして保存できるように。その味わいは、ただ辛いだけではなく、香(香味)、辣(辛味)、酸(酸味)の3つが調和されている。
赤と黄色の唐辛子をのせた、代表的な料理『魚のカマと二種漬け唐辛子 湖南風味蒸し』2000円(税別)。見た目にビビってしまうけれど、フワっと柔らかい白身魚にすっぱ辛いスープを絡めて口に運ぶと……美味しい〜!
骨とスープだけになった大皿は下げられ、締めに、さっきのスープを使った麺料理が登場! 湖南では最初から麺が添えられていて、魚と一緒につけ麺のようにして食するという。
『キャベツと唐辛子鍋煮』(1000円・税別)。キャベツの甘みが口いっぱい→→→少し時間をおいて喉だけヒリヒリヒーとしてくるのは、漬け唐辛子を使っているから。
食卓で温めながら。時間が経つとキャベツはしんなりして、甘みを増す。「湖南の女の子は気が強い」というけれど、こんなふうに甘みと辛みを持ち合わせているのかな♪
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中華料理
状元郷(じょうげんきょう)
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【台湾料理】お弁当箱が食卓に、ワクワク楽しい屋台料理
「屋台料理を目指して台湾旅行へ!」。そんな声をよく聞きます。台湾料理は大陸の福建料理が元となって発展。海の幸、山の幸が豊富で、味付けは少し甘め。ニンニク・ショウガ・パクチーもたっぷり使って、日本人のファンも多いようです。当店の屋号にある「状元」はチャンピオンの意味。台湾の子どもたちは「状元になりなさい」と言われて育つそうですよ。
成田国際空港から約4時間、海に囲まれた台湾は食材豊富。外食が盛んで、飲食業のレベルが高いといわれている。
一番人気のB級グルメ『台湾パイコー飯』900円(税別)は、ステンレスのお弁当箱に入った駅弁スタイル。
蓋を開けると、ご飯の上に、独自のタレやスパイスでつけ込んだ骨付き豚肉を高温でカラッと揚げたパイコー揚げがズラリ。高菜の油炒めもまろやかで、これぞ癖になる美味しさ。左も名物『臭豆腐』600円(税別)。酢の物の野菜と一緒に甘辛ソースにつけて頬張ると、サクッと中から発酵臭が抜けて、ハマルと止まらない。地元の人はおやつ感覚で食べるそう。
『台湾パイコー飯』完食! 台湾の子どもたちも、このステンレスのお弁当箱をもって学校に行くそうですよ♪
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中華料理
蘭州牛肉拉面(らんしゅうぎゅうにくらーめん)
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【甘粛省蘭州市の朝食】世界を席巻するか!? 中国版ファストフード
カナダ、アメリカ、オーストラリア、ロシア、マレーシアなど世界40カ国以上に広がっている蘭州拉麺。本場の甘粛省蘭州市では早朝から店がオープン、市民の朝食として親しまれる、いわば中国版ファストフードです。ここ横浜中華街にも専門店があります。
蘭州市は、甘粛省の省都。
看板メニューがそのまま屋号になっている店は、中山路沿いに。
軒先には「蘭州拉麺」5カ条なるものが掲げられている。まさに蘭州市のご当地グルメ。そうそう、このイラストのように、注文すると厨房から生地を調理台にたたきつけて「ビャンビャン」という音が聞こえてくるのだ。
澄んだ牛骨スープ、半月切りの白い大根、ニンニクの芽と香菜の緑、太かったり細かったり手打ちならではの黄色いもちもち麺、これに自ら赤いラー油を垂らすと出来上がり。
香菜好きにはたまらない爽やかな味わいは、夏でも女性でも欲するラーメン。隣りのテーブルの女性4人組は「やっとこれたわ〜。近かったら1人でも来たいぐらい」と話していたけれど、まさにリピートしたくなる美味しさ。この勢いで世界のファストフードになるか!?
千谷'sメモ
お店の人に、ふるさと自慢も聞いてみて!